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闇夜の雫【FF15】

第2章 中編



その後は適当に食事を済ませ、彼女が住んでいると思われるボロ家に向かおうとしていた。

「…オレが頼めば、多分この街で保護してくれると思うけど」

二人並んで暫く歩いていたのだが、街を出る時不意にアーデンが口を開いた。

「………はぁ」

ここに来るまで幾つか会話をしたが、どれもあまり覚えていない。

彼女は街の出口付近で漸く我に返ると、盛大にため息を吐いた。

「保護されるのも、身なりを整えるのも、私なんかよりあなたがするべきでしょう?」

「……ん?」

ボソリと呟くように言われた言葉に違和感を覚えたアーデン。

何故彼女は、アーデンが命を狙われているのを知っている。

「…あぁ、世間に疎い私でも、耳に入ってくる噂話はあるんです」

アーデンの怪訝な表情に何かを感じたのか、彼女はそう付け加えた。

「ふぅん、そう」

アーデンの気のない返事に彼女は肩を竦ませると、アーデンの前に立ちその瞳を見上げた。

「……こんなこと言うガラではないですが、今日はありがとうございました。余計なお世話…いえ、気遣いをして頂き感謝します」

「…はは、相変わらずだね」

交わる金色の瞳。

今まで異性に対してあまり抱いたことのない感情だったが、彼女は本当に美しくなった。

エイラも絶世の美女と言われているが、アーデンは特に関心を持たなかった。

恐らくアーデンは、彼女の中身も含めて気に入っているからそう思ったのだろう。









「アーデン」



ふとアーデンが考え事をしていると、交わった視線のまま彼女が口を開いた。













「もし、あなたが本当に困った時は、私が何とかしてあげますよ」

アーデンの手を握り、静かにそう伝えた彼女。












「…うん、じゃぁ期待せずに待ってるよ」



アーデンは握られた手を握り返すと、その口元に笑みを浮かべたのだった。


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