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闇夜の雫【FF15】

第2章 中編



「おじさん、大丈夫?」

朝日の光と呼ばれる声に目を覚ましたアーデン。

てっきり死んだと思っていたのに、まだ生きていた。

朦朧とする意識の中で視線を動かせば、傍に少女が座っている。

アーデンの肩に手を触れて、こちらを覗き込んでいる少女。

キラキラと輝く淡い金髪に金色の瞳を持つ彼女は、少女でありならがどこか神々しい雰囲気を感じた。

アーデンは暫く茫然としていたが、ゆっくりとその身体を起こす。

「……?」


するとすぐに違和感に気づいた。

あれほど悪かった体調が嘘のように良くなっている。

服を捲ってみても、黒く犯されていた皮膚は綺麗になくなっていた。


「私が治してあげたんだよ!」

アーデンの行動で感づいたのかどこか得意げに言っている少女を、信じられない表情でアーデンは見る。

「ほんとは力を使ったらダメだって言われているけど、今日は特別みたい」

「…君はいったい…」

アーデンの目の前にいる少女は、どこからどう見ても普通の少女だった。

寄生虫に侵された人を救うことのできる人間なんて、聞いたことがない。






……いや、まさか…



「神凪…か?」

アーデンの言葉に一瞬首を傾げた少女。どうやらよく意味が分かっていないようだった。


「神様からね、おじさんを治すように言われたの」

少女が発した神という言葉に引っ掛かりを覚えたが、聞いたところで彼女もわからないだろう。

「…言っとくけど、オレはまだ若いんだが」

「よかったね、治してもらえて!神様に感謝だね」

アーデンの言葉を完全にスルーすると少女は立ち上がり、そのまま何事もなかったようにその場を離れようとした。

「ちょっと待て」

立ち去ろうとする彼女に、アーデンは思わずその幼い手を掴んで止めた。

「どうしたの?まだ痛い?」

「…いや」

本当は聞きたいこと尋ねたいことが山ほどあった。

だけど何もかも突然すぎて言葉を失ったアーデン。

そんな彼を不思議そうに見ていた少女だが、痛くないと分かるとその手を外した。

「ばいばい!」

そしてその言葉とともに去っていく彼女を、再び引き止めることは出来なかった。

結局彼女の名前も正体も何も分からないままだ。













そしてその日以降、オレは不思議な力を持つようになったのだ。
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