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闇夜の雫【FF15】

第1章 前編



「まさかの両思いですか?やだ、嬉しい」

「真顔だけど、それ本気で言ってる?」

「元々表情は乏しいほうです。アーデン宰相こそ本気で言ってるんですか?一般兵に選択肢を委ねるなんて、普通は即、断りますよね?」

「別に受け入れるとは言ってないけど?」

「そうですか。どうやら私の儚い恋心は弄ばれたようですね。一国の宰相がなんとも大人気ない。あぁ、身も心も血塗れてしまいました」

ユーリは大袈裟に肩を落とし溜息を吐いた。

「なに、本気でオレのこと好きなわけ?」

「だから最初からそう言ってるじゃないですか」

「とてもそうは見えないけど」

「勝手に人の思いを否定しないでください。宰相こそ、何故一般兵である私に構ってるんですか?もしかして宰相でありながら暇を持て余してるんですか?だから暇つぶしに私の相手をしていると?」

「…随分辛辣だねぇ。オレ、一応ここの国では偉い方なんだけど」

「これは大変失礼をしました。人の恋心を弄ばれて腹が立ったもので」

自分で言っておいて何だが、いつまでこのやり取りは続くのだろうか。
相手が相手なだけにそう簡単に事が運ぶとは思ってないが、だんだんベクトルが違う方向へ向かってる気がしてならない。

目の前の男が何を考えているのか分からないし、素直に開放してもらえる気配もない。

もし奇跡的に開放されたら、即座に何処かの国へ亡命したいところだ。











「…で、その設定いつまで続くの?」

話の軸がそれ始めたと思ったから、何とも雑に軌道修正された。

辛気臭い笑顔はそのままに、彼の眼光は鋭い。

あっこれ、私死んだわ。


まるで冷たい刃物を突きつけられてる感覚に、ユーリは素直にこの状況を受け入れることにした。







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