第2章 中編
ルシスに案内されるといっても正面から行けるわけがない。
少年について行くと壁に開けられている小さな穴を見つけた。
ーーーなるほど、彼はここから脱走していたのか
ユーリはどこか現実逃避をしながら彼の後をついて行く。
「少年よ、私が言うのもなんだが……勝手に連れて来ていいのか?」
辿り着いたルシスの図書館を目の前にユーリは思わず呟いた。
「いいか悪いか聞かれたら、いいわけないよな」
「ですよね」
「…でも、あんた悪い奴じゃなさそうだし」
おいおい、チョコボを守っただけで信頼するのか。
あれか、ルシスはチョコボを神聖な生き物として扱ってたりするのか。
何やらブツブツ呟いているユーリを怪訝な表情でみている少年。
余計なおせっかいだったのかと思ったが、そうでもないらしい。
急に我に返った彼女は、礼と共にそそくさと図書館に入っていった。
…なんか、不思議な奴だな
少年はそう思い、道を引き返す。
もしかしたら明日も図書館に行けば会えるのだろうか。
そんなことを考えながら、目の前にそびえ立つ城へと入っていった。
ユーリが図書館に足を踏み入れると、そこには膨大な数の図書が目に映った。
天井高くそびえ立つ本の数々を、限られた時間でどれだけ読むこのができるのか。
ユーリは軽く眩暈を感じたが、迷ってる場合ではなかったので、早速歴史書の一冊を手に取って読み始めた。