第2章 中編
ユーリが子チョコボの護衛をすること2日、怪我も大分よくなってきた。
あの後、少年は毎日やってきてユーリともだいぶ打ち解けたようだった。
ユーリの話しを興味深そうに聞いている少年。
最初は貴族の子供かと思ったが、下手をすると更に上流階級の人間かもしれない。
少年が話す言葉や何気ない所作に品の良さを感じ、私も見習うべきかとそんなどうでもいいことを考えていた。
「…なぁ、旅をしながら世界の歴史を研究してるようだけど、ルシスに関する情報だけほとんどないんだな」
ユーリが話す内容は世界の歴史と神話がほとんどだった。
まさか帝都で軍として雇われていた話をするわけにもいかないので、自然と最近身に付けた知識を話すことになった。
それを興味深そうに聞いていた彼だが、ルシスの話が一切なかったことに流石に気づいたらしい。
「いやだって、魔法障壁のせいで勝手に入るわけにもいかないじゃないですか」
ユーリの知識は基本図書館で身に付けたものだ。
そしてユーリの用事とは、ルシスの図書館のことだった。
ユーリの言葉に一瞬考える素振りを見せた少年。
何か難しく考え込んでいる少年を、ユーリはすっかり懐いた子チョコボを撫でながら眺めていた。
「……分かった。あんたには礼もあるし、ルシスの中に案内してやるよ」
意を決したように言葉を発した少年。
チョコボを撫でていた手が思わず止まった。