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闇夜の雫【FF15】

第2章 中編



ユーリは獣にとどめを刺すと、少年の方へ振り返る。

一瞬の出来事に唖然としていた少年だが、慌てて礼を述べてきた。

ユーリは気にしなくていいと伝えると、日が暮れるので早く家に帰るよう促す。

少年の身なりを見ると、なんとなく貴族の子供のような気がした。

恐らく夜が危ないと教えられているはずだが、助けた以上彼がこの場を離れるまで見守るしかない。

「…けど、まささっきのような獣が現れたら」

少年の視線は子チョコボへと向けられる。

話を聞くと一昨日に怪我をしているのを見つけて、治るまで世話をしようと思ったと。

ユーリは少年とチョコボを交互に見やり、そっとため息を吐いた。

「分かりました。では私がここで野宿をするのであなたは早く家に帰ってください」

「え?…でもそれだとお姉さんが危ないんじゃ…」

「私は旅の者で戦闘には慣れています。ちょうどこの辺りに用事があったので、数日でよければ付き合ってあげますよ」

子供相手に随分と上から目線になってしまったが、これが私だから今更直しようがない。

本当はもう少し安全な場所で野宿したかったが、この少年を大人しく帰らせる方法が他になさそうなので仕方ない。

ユーリが早速野宿の準備を始めているのを暫く見ていた少年だが、再びユーリが促すと漸く来た道を戻り始めた。


「…やれやれ、私も随分とお人よしになりましたね」

薪を焚くと、ユーリは木によりかかりその火を見つめた。

一応子チョコボも暖まれるように近くに焚いたが、さてこれからどうしたものか。

ユーリがぼんやりと考え事をしていると、漸く安心したのか子チョコボが眠りにつく。

ユーリは何時でも取れるよう剣を近くに置くと、そっとその瞳を閉じたのだった。



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