第2章 中編
ユーリが帝都を出発して2日が経った。
予想していたよりも順調に旅路は進み、あと少しでルシスの領域に入れるところまで来ていた。
しかし、問題はここからだ。
過去に行われたニフルハイムとルシスの戦争により、ルシス王国には魔法障壁が張られている。
ニフルハイムの軍人だと分かるものは全て置いてきたが、ただの旅人が普通に入れるものなのだろうか。
いや、そんな簡単に入れるなら魔法障壁の意味がない。
ユーリはどうしたものかと迷いウロウロしていると、視界の端に1人の子供が目に入った。
黒髪の少年は辺りを見渡すと荒野の方に走っていく。
日も暮れようとしているこの時間帯に外に出るなど、一体何を考えているのか。
それはユーリ自身にも言えることだが、兵士である彼女と子供とではわけが違う。
ユーリはどうしたものかと迷い続けること少し、そっとため息を吐くと彼の後を追いかける。
どちらにしてもルシスに入れそうにないので野宿できそうな場所を探すしかなかった。
程なくしてユーリが少年を見つけると、少年の傍に子チョコボの姿があった。
怪我でもしているのか少年が近づいても逃げる様子もなく、大人しく手当受け与えられた餌を食べていた。
ーーーなるほど、小さい子がよくする行動ですね
ユーリは苦笑したがふと唸り声のようなものが聞こえ、瞬時に剣を構える。
茂みから飛び出してきた獣は少年へと攻撃を仕掛ける。
それに気づいた子チョコボが鳴き声を上げ少年が目を見張る。
ユーリは地を蹴ると、一瞬にして獣を切り捨てた。