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闇夜の雫【FF15】

第1章 前編



ユーリの言葉に、驚いたように黙り込んだ彼。

そして何かを考え込んでいる仕草をしていた。

なんだろう、何かデジャヴを感じる。












「うん、やっぱり君のこと気に入ったよ。だからオレと付き合おうか?」

「断る」

「残念、君に拒否権はないんだよねぇ」

「…はぁ」

帝国の№2に対して随分な態度をとっているが、もう何もかも今更である。
というか、何故そこに拘る。

私と恋人同士になって誰が得をするのか。
どうせ知るべきじゃないことを知ってしまったんだ。

殺さないなら、恋人なんて回りくどいやり方ではなく、もっと効率的な管理方法があるだろうに。

…まぁ、知るべきじゃなかった情報の内9割は、向こうが勝手に喋ってきたものだが。





なんてことだ、寧ろ私は被害者ではないか。

何が悲しくてそれを餌にこの男と恋人にならないといけないのか。
年齢差的に事案が発生してもおかしくないだろう。

というか、別にモテないわけじゃないだろうに、全く持って何がしたいのか分からない。

「知るべき情報を知ってしまったことを抜きにして、なんで私なんですか?」

ユーリは男の真意を探った。

この男の言葉を真に受けてはいけない。
表も裏も、見えないように生きているような男なのだ。

そう簡単に信じるには、私たちはまだお互いに知らないことの方が多すぎる。













「…ユーリならさ、オレのこと受け入れてくれると思って」


少し沈黙が続いたかと思うと、静かに伝えられた言葉。


「…」

相変わらずの笑みを浮かべているが、その瞳の奥にある、僅かな悲しみに、気づいてしまった。






…あぁ、正直気づきたくなかった。

気づかなければ、軽口の1つや2つ叩けたのに。

ユーリはそっと溜息を吐いた。


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