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闇夜の雫【FF15】

第1章 前編



ユーリはこの生殺しの状態に、うんざりしていた。

まさか昨日の茶番劇が今日も続くとは思っていなかった。

こうなるなら、傷の手当と荷物の存在は捨てて、さっさと逃げればよかった。
せっかく逃げれる希望が見えたのに、やっぱり私は死ぬしか道がないのだろうか。

それなら、昨日あそこで落ちた瞬間に死んでほしかった。

ユーリは手に巻かれた包帯にそっと触れ、ため息を吐いた。
それは自分自身の生命力の強さによる呆れのものか、強運を持ち合わせていることへの呆れなのか分からなかった。

「随分と思い詰めた表情してるけど、大丈夫?」

「…はぁ、まぁ。その元凶が今目の前にいるんで、大丈夫ではないですね」

「オレ?昨日あんなに熱烈な告白しといて、それは酷いなぁ」

「あなたこそ、それ本気で言ってるんですか」

ユーリはもう色々と面倒になってきたので、背負っていた荷物を放り投げ、両手を広げた。

「さぁ、どうぞ」

「え?何?抱擁?」

「その目は腐ってるんですか?さっさと捕まえて殺せと言ってるんです」

ユーリはジト目で目の前の男を見ると、そっとその瞳を閉じた。

死を受け入れ、震えることなく立ち続ける彼女。










そんな彼女の姿が、2000年前の自分自身と重なって見えた。



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