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闇夜の雫【FF15】

第2章 中編



アーデンはユーリの歌声が聞こえたので、急いでその場へと向かった。

しかし途中からその歌は止み、辿り着いた時にはユーリの姿はもうなかった。

そこに残されていたのは、黒く染まったクリスタルと……

「……ユーリっ」

闇に包まれたクリスタルに覆われたように眠るユーリ。

アーデンは慌てて駆け寄って手を伸ばす。

「…っ」

一瞬2千年前の記憶がフラッシュバックし、伸ばした手を止めるが、構わず彼はクリスタルに触れた。

「……ははっ、これだけ闇に染まらないと触れられないのか」

クリスタルはアーデンを拒むことはしなかった。
それはクリスタル自身が穢れているからか、それともアーデンの穢れがなくなったからか。

今となっては、そんなことはどうでもよかった。

「…一度目はオレを拒み…二度目はオレの大切なものを奪うというのか」

拳をクリスタルに叩きつけるが、それで何かが変わるわけでもない。

闇の中で静かに眠る彼女が、目を覚ますことはなかった。










ーーーー愚かな王よ、再びこの地に戻って来たのか

アーデンが地面に落ちていた剣でクリスタルを攻撃しようとした時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

恨みを込めて視線を向ければ、予想通りそこにはアルテマの姿があった。

「…彼女になにをした。…どうしてユーリがっ…!」

アーデンは怒りのままに手元の剣を振りかざすが、あっさりと交わされる。
そんなことをしても無駄だと分かっているのに、怒りを抑えることができなかった。


ーーーーこの星を救うために彼女は選ばれ、自らその使命を果たそうとしている。それを邪魔するというのか?

「それは、オレの役目だっただろうが!?」

ーーーーおまえがしようとしていることは、同じ歴史を繰り返すだけだ。我々の望みは、世界の仕組みを変えること。そしてそれを成し遂げれるのは彼女だけだ。それはおまえも理解しているはずだ

アルテマの言葉に、ユーリの素性が脳裏によぎる。

だけどだからと言って、納得ができるわけがなかった。



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