第7章 其の七
主のいなくなった審神者部屋に残された加州は長谷部の小言を耳にしながらもう一度大和守のページを見開くと小さくため息をつく。
どんどん増えていく刀剣男士達ではあるが、まだまだ足らない……そう思っているのは彼だけではなかった。
長谷部の小言も終わり、加州は手合わせへと向かう。残った長谷部は書類の整理にとりかかりながら、室内の整理整頓を始めた。
主は決して不精ではないが、綺麗好きというわけでもない。部屋も散らかっているわけではないがいつも整っているわけではない。
やや欠けている所があるのがかわいいところでもあるのだが、書類だけでもしっかりしてもらいたいと思ってしまう。
部類別にファイルに挟む作業も手慣れたもので、終わっていない報告書を残してそれ以外を書箱へとしまった。
「長谷部様、いつもありがとうございます」
ちょうどいいタイミングで部屋へと戻って来た桜華は長谷部が整えてくれた書類を見て礼を言い書机の方へ腰を下ろす。
向かいに座った長谷部は彼女に茶を用意すると、残りの書類を片づけるように言葉を添えた。
微笑みながら頷いた桜華は、ペンを執るとノートパソコンの画面をのぞき込みながら書類を書き始める。
「長谷部様は、いつもそうして真面目でいらっしゃいますが疲れませんか?」
「いえ、主ほど仕事はしておりませんので」
そんな返事にクスッと笑った桜華は、長谷部の仕事っぷりに毎日感心しているのだ。
「資材がだいぶ減ってきたようですね」
「遠征部隊をまた出しましょうか?」
「そうですね……」
資材の数、部隊の数、刀剣の数を見比べて桜華は頭を悩ませる。あまり男士達に無理をさせたくないのが本心だ。
最近、連続して遠征に出てもらっているので少し休みを…と思っていた所でもあるので更に悩む。