君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第11章 Sp Two stage Butterfly
脅迫手帳には書かないが、彼女の情報自体は既に調べてあった。
鏡波音
身長149cm
体重38kg
中学2年
1学期時点の評定
数学:2
国語:5
英語:5
社会:5
理科:3
情報:5
家庭科:5
美術:4
音楽:5
体育:5
3歳頃から水泳を習い始め、フォームを覚えるとみるみるうちにタイムが上がっていった。
しかし男っぽい口調、男勝りな姿とは反対に手先が器用で裁縫が得意でメンタルは弱い。親は外交官で姉は携帯会社の販売員。
本当は可愛い物好きだが人には隠している。可愛い物は似合わない、どうせあたしには出来ないなど自分に対しては悲観的。部屋には大きい兎のぬいぐるみが置いてあっていつも抱き枕として活用している。
ヒル魔はそんな彼女の本気を知っていた。
「ケケケ、Ya-ha!!!」
グラウンドで最後のテスト。レシーバーになれるかどうか。
ムサシ「いや、無理だろう。」
栗田「この身長差は…難しいよぉ。」
ヒル魔が今まで練習してきたパス。
全力で高いロングパスを仕掛けた。
溝六も見守る。
3人はもう無理だと思った。
一般的に考えても無理だ。
波音はフワッと軽々しく飛ぶ。
全然届かない。全員が諦めていた。
ただ、2人を除いて。
彼女は空中で足を曲げて力を溜める。
そして素早く足を伸ばす。
その瞬間グンッと上に上がったのだ。
その光景が信じられなかった。
「やっぱりだ。てめぇはWRとして使える。」
二段ジャンプ。
出来る者など存在しないと思っていた。
ただ、彼女は出来てしまったのだ。
ボールを掴み取りそのままゆっくりと着地をした。
「…やべぇ。出来ちゃった。」
1番驚いているのは波音だった。
絶対落ちると思っていたがダメ元で足を速く動かして取ろうとした結果こんな奇跡が起きたのだ。
「そのまま俺に投げてみろ。」
「…本気で?」
「ったりめえだろ。」
来い、と構えるヒル魔。
ヒル魔に狙いを定めてボールを投げる。
ビュンッと腕の力でスピードが加速しヒル魔の元へとまっしぐら。
「…ケケケ、糞アマはサウスポーだったか。」