君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第11章 Sp Two stage Butterfly
「はぁ?!あたしがアメフトのレシーバー?!」
これは中学校で麻黄デビルバッツが出来たばかりの話である。
季節は冬。水泳はオフシーズン。練習があるとはいえども夏ほど厳しくはなかったので波音はその間だけアメフトのマネージャーをしていた。
「取れる奴がいねぇんだよ。糞デブはDL。糞ジジィはキッカー。俺はQB。レシーバーが足りねぇから少し手伝え。」
「いやいや、そもそも女だし。アメフトは男がやるスポーツでしょ?あたしが男っぽいからって捏造はいけな」
「ケケケ、何言ってやがる。女でもやっていーんだよ。」
「でもヒル魔いいの?波音ちゃん凄く小さいよ…?」
一度は栗田が無理じゃないかと遠回りに警告した。
「…チッ、確かにそうだな。じゃあテストしてみっか。」
その言葉に少しだけ考え直したのか、どれだけの実力があるか有無も言わせず早速彼女にスポーツテストを課せることになった。
「何でこんなことになんだよ…。」
まずは40ヤード走。
ヒル魔のピストル(大砲型)でドーンっと大きな音を立ててスタートの合図が鳴る。
平均的な女子よりも圧倒的なスピード。
栗田がゴールラインに来た瞬間ピッとストップウォッチを止める。
栗田「40ヤード走…5秒2?!」
ヒル魔「足はそう速くねぇが、日頃水泳で鍛えてる瞬発力が効いてんだな。」
「5秒2って速いのか分からん。」
一息着いてスポーツドリンクを1口飲んだ。
「休んでる暇ねぇぞ!次はベンチブレスだ!」
悪魔に首裾を持たれ引き摺られて向かうのはトレーニング室。
「ふざけんじゃねぇ…よっ!!」
ふんっ!と呼吸を荒らげて一気に持ち上げる。
栗田「す、凄いよ!45kg!ね、ムサシ!」
ムサシ「女にしちゃあ結構良いだろう。」
「凄いのか分からん!」
ヒル魔「…。」
ヒル魔は遠くからその姿を見詰めていた。
無糖ガムの銀紙を剥がす。
ペリッと音が鳴る。
WR(レシーバー)とQB…両方いけそうだな。