君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第9章 怪我
診断は肩関節脱臼。
治療で何とか関節は入ったが、何回も右腕を怪我していたので主治医から「次無茶したら終わりだよ。」って伝えられた。
そんな怪我の中でも波音はドクターストップが出されていたのにも関わらず、大会に出場した。
ひたすら無我夢中で腕を回した。
出し尽くして出し尽くして…負けた。
ベストタイムまで0.31秒。
1位との差0.23秒。
怪我している中でほぼ自己ベスト。
怪我してなかったら出られていただろう。
プールから上がった瞬間、肩に激痛が走り必死に耐えたが更衣室で倒れた。
病院に運ばれると再度右腕が脱臼していた上に上位型腕神経叢損傷(わんしんけいそうそんしょう)という怪我までしていた。
腕神経叢損傷とはつまり神経が傷付いて動かなくなる。彼女の場合は上位型と言って手を上げたり肘を曲げることが出来なくなる大怪我だった。
神経再建術により上げたり曲げることは出来るようになったが上腕部を触られても感覚が薄く、突然縛られるような激痛が起きるようになった。それに脱臼が加わり、感覚の薄い上腕を触られても脱臼の痛みが襲って痛い。
「もう君の腕では水泳できないよ。」
そんな辛い言葉を涙を流してただ聞くしかなかった。
黙って聞くしかなかったのだった。