君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第9章 怪我
南は、中学の時から波音と争っていた敵だった。
中学校は違った為に全然話し掛けたこともなかったが、水泳だけは波音か南かの一騎討ちであった。
南と波音とは1つ違いで自分が高校に上がった時は彼女がその年の中学校日本選手権で優勝したらしい。
しかし中学校には世界選手権というのはなかった。
人生で3回しかない日本選手権大会。
でも波音の高校は3年の春で部活動は引退だった。
だから出場出来るのは2回。
しかも1年の時は実力があったのにも関わらず右腕の上腕骨遠位端骨折で入院していて出られなかった。
そもそも波音は喧嘩やら筋トレのしすぎやらでよく骨折をしていたわけで。
右腕の骨折を3回もしていて1番多かった。
「水泳やりたいなら、もう変な事はしないこと!いいね?」
医師から告げられた言葉。
分かりました、と言うしかない。
そんな中で高二になって現れたのが南だった。
水泳部に入るや否や彼女は波音に声を掛けた。
「一昨年の日本選手権で闘った人だ!わぁ〜、1位の人と一緒の学校で光栄ですぅ〜!」
それが最初の言葉らしい。
最初のうちは関係も上手くいっていた。
お互い体力向上の為に走り、筋トレして、室内プールで泳ぐ。
最初のうちは良かったのだが、南は大会が近付いてくると次第に荒れていった。
学校の授業は休んで1人水泳を没頭し、人が練習している時に邪魔をした。
自分より上を行く者は容赦なく悪行を犯し、絶望の淵へと追い詰める。電車のホームに突き落とし。水着をカッターでビリビリに破き。ターゲットの相手には無視や陰口。裏で繋がっているのか分からないが不良を使って女子に性行為強要。相手の洋服を校庭に出して水着姿で拾わせたりと様々な事をやっていた。
今までの行動に波音は腹が立っていた。
「どうもあたしは人間関係が上手く出来ないみたいだ。」
高校ではこんな性格だからか人も近づかなかったという波音。
文句を言いに行こうとはしたが、やはり次は自分では無いかと思って怖かった。
だから先生に相談した。けど、どうすることも出来なくて。
どこから漏れたのかその事が南にも伝わってしまい
結局次のターゲットは自分になって階段から突き落とされた。