君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第8章 滅私奉公
「…ごめん、本当にごめん!」
ドアを閉めて彼をクッションの上に座らせた途端彼女は土下座をした。彼女の目には既に涙が見えていた。
「こんな重要な時なのに仮病で休む馬鹿なんていないよね。ありえないよね。知ってる。あたしは泥門高校にいるべきなのか、いることで迷惑になってないかとか…もしあたしのせいで人に危害が及んだら…怖いんだ。…明日から行くから…許してください。」
ヒル魔は黙って言い分を聞いていた。
「てめぇの言いたい事はそれだけか?」
えっ、と彼女は顔を見上げる。
「…美水女子高校。悪魔手帳とパソコン使って調べた。」
彼の言葉を聞いて俯く。
「じゃあ、あたしの怪我の事もお姉ちゃんから聞いてるんだよな?」
「…さっき聞いた。」
そう、聞いたんだ。と呟いて彼女はベッドに座る。
「…何で本当の事、言わなかった。」
「…明日は学校行くから。部活後にちゃんと話すよ。その…ごめん。」
彼の質問も答えず彼女は背を向けてベッドに横たわる。
「…」
波音の小さい背中を見ながら言われた通り黙って部屋を後にした。