君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第8章 滅私奉公
「波音さんの具合はいかがですか?」
彼女に会う前に昔の学校についての話が聴けたら良いと思いヒル魔は遠回しに聞き出そうと湊との話を始めた。
「う〜ん、風邪引いたこと無かったからどうしたらいいか分からないんだけど…でもあれは風邪じゃなさそうなのよ。薬飲まないし…ご飯は部屋に持っていくけど普通に完食しているのよね。」
「ケケケ、それは風邪じゃ無いですね。なんか悩み事があるんじゃないんでしょうか?」
「貴方達の高校に入ってからは楽しそうにしてたからいきなりどうしたんだろう…って思ってね。怪我の事なのかしらね…怪我してからあの子1人になると思い詰めた表情をする時が多いのよ。」
ふぅ、と湊は溜息をつく。
怪我の原因を詳しく調べようとヒル魔は更に話に食い込む。
「原因…あの子は前方不注意で階段から落ちたって言うんだけど…。」
言葉が詰まる。そして彼女は静かに呟いた。
「…医者からは数段しかない階段から落ちただけでは済まされない大怪我って言われたのよ。」