君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第7章 泳ぎ舞う蝶
そして始まった水泳大会。
試合毎に出ている者は必死で泳ぐ。
罰ゲームを逃れたいからだ。
女子も男子も関係なくランダムで泳いでいくが女子は全く役に立たず、男子ばかりがトップになる。
栗田「よし!僕達のクラスはいい感じ!」
ムサシ「だな。…あ、」
そして波音が飛び込み台に上がる。
栗田「ついに、波音ちゃんの番…!」
ムサシ「お手並み拝見だな。」
よーい、と審判員が笛を鳴らす準備をして
ピッ!
その瞬間一斉に水の中に入り込む。
栗田「な、なにあれ?!」
ムサシ「…こりゃあすげぇ。」
ヒル魔「ケケケ、中々やるじゃねぇか、糞アマ。」
3人が驚いていると同様に会場がざわついた。
華麗なフォームでクロールをする彼女。
華麗なだけじゃない。
手早く腕を回し肘を曲げてサッと水に手を入れる。その間に右手も回して水に入れる。
その動作を素早くこなし、しかも圧倒的なスピードで落ちること無くゴールした。
「で、次は無いの?」
波音はニヤッと笑う。
「嘘だ、ろ…。」
その記録を見た全員が言葉を失う。
記録
「27秒23です!!」
うおおおおぉっと歓声が上がる。
「なんだこの速さは!」
「かっこいい!」
と沢山の人々から歓喜の声。
でも波音は
「水着が学校のだとやっぱり抵抗あって泳ぎづらいんだよなぁ…しかも自己ベストに全然届いてねぇ。」
不満そうな顔でプールから上がる。全然疲れていなさそうだった。
先程、陰口を言っていた先生もこれには驚き
「あの…これからの種目も出てくれませんか?」
とペコペコと頭を下げてしまう。
「餓鬼って言ってたのに使うんですか?」
陰口が聞こえていたという事を伝えて先生は全力で謝った。
「代償は頂きますからね。」
もう隠す必要はないと思った波音は着替え直した。
真ん中にはSPEEDという文字。
ハーフスパッツ型の水着。
そして競泳用のゴム帽子とゴーグル。
男子全員を殺しに掛かっているというのは言うまでもない。
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