君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第1章 26298時間21分後の再会
私立泥門高等学校。
あの3人が部活を立ち上げたらしい。
厳ちゃんは家庭の事情で一時期中断してたっぽいけど結局戻ってきたんだよね。
盤戸スパイダーズ戦。
あの時テレビ越しにその状況見てたけど、凄かったな。
キッカーvsキッカー、本当に息を呑む試合だった。
それにあの妖怪の顔…変わってなかった。
…でも本気で格好良かったな。
それにしてもやけに校庭が騒がしい。
茶色いユニフォームと赤いユニフォームが一進一退の攻防をしていた。
「柱谷ディアーズとの練習試合?!」
中学の時に試合したあの時の…。
良寛の恩師、鬼兵さんがいるあのチーム?!
見ない訳には行かなかった。
力をつけたデビルバッツがどこまで成長したかを知りたかった。
それに良寛と鬼兵さんとのバトルが見たかった。
「フンヌラバッ!!」
全力で鬼兵さんにぶつかる栗羊羹。
それを崩す怖いおじさん。
見物だね。これは。
一時期あんな熱心に水泳をやっていた自分を思い出す。
必死で戦う良寛の姿を自分を重ねて見ていた。
あの頃が懐かしい。
もう戻れないと思うと悔しくて堪らない。
そんな悲しみを心の奥深くのポケットにしまい込んで試合に戻る。
「この試合に勝たなければ関東大会には行けないんだ…!」
先程の力とは比べ物にならないぐらいのパワーで柱谷ディアーズの頭領を押し切った。
良寛が鬼兵さんに勝った。
「…すげぇ。成長したなぁ。」
心の声が漏れた。
アイシールドの小さき英雄はフィールドを駆け抜け、お猿くんはキャッチで皆を魅了させ(ているのか?)、ラインは更に強さを増した。
結果は0-24。
やっぱ、強いよ。このチーム。
私は笑みを浮かべながら泥門高校を後にしようとした。
「…やっぱり、私がここに来るのは違う気がする。」
そう言いながら私は去ろうとした。
…のだが。
ムサシ「お前、…鏡か?」
──────