君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第4章 Sp 米軍基地
米軍の人達が言うにはあたしの親は何かの用事でここに来る度、皆さんに差し入れをしているらしくいつの間にか仲良くなっていたそうだ。
なんかやべぇな、うちの親。
親を敵に回したらあたしは殺されるんだろうな。
アメフトをするコートから少し外れた所のベンチに腰を掛ける。
黒人、白人関係ない試合っぽい。
ここでは人種差別ないんだ。素晴らしいことだなぁ。
「…ん?」
赤チームの方を見てみるとアメリカ人の中に1人だけ日本人がいる。
あれ?あの制服見た事あるぞ…んん?あの顔見たことある。
「ヒル魔…?!」
いや、まさか!なんであいつがここにいるんだ?!入れるわけないだろう!そもそもどっから入るんだよ!無断で入っていいのか?!あたしは親が親だったから入れたんだと思うけど…奇跡だろうし。
そういえばさっきから後ろの方で声がする。
後ろを振り返ると大きな巨体が穴に挟まっていた。
思わず立ち上がり後ずさりをして眼鏡を上げた。
ってか、あいつもしかして…栗ちゃん?!
隣にいるおじさんもなんか見た事がある。
知っている人が多すぎて一体何が何だか分からなかった。
「ケケケ、糞アマじゃねぇか。どうしてこんなところにいやがる。」
もう一度、コートの方へ振り向くとあの悪魔がいた。
「いや、それ、あたしも聞きたい。」
「でっけぇデブが塞いでる穴から出入りしてる。賭けて勝つのが楽しいからこいつらと一緒にゲームしてるだけだ。」
そういうてめぇは、と彼は問い返す。
あたしは親の用事でなんか入れた。と伝えておいた。
「…栗ちゃんが一生懸命アメフトで頑張ってんの見るとあたしは何やってんだろうって思うんだ。そりゃあ、あたしがやってる水泳とアメフトは全くの別物だけど…結局最後は才能じゃなくて努力が勝つんだ。その努力してる姿見ると…やる気が出てくるんだ。」
っていきなり何言ってんだよ、あたし。と苦笑する。
彼はガムを膨み過ぎて風船をパンッと割った。
「おい、熱中症で2人倒れたぞ!」
そんな話していると大柄な男性が声を張り上げる。
おじさんと栗ちゃんは英語がわからなそうだったがヤバいってことは伝わったらしい。
二人を置いといて声が聞こえる方へと走ると担架で2名運ばれていく。
「これじゃあゲームになんねぇ!QBとDL(ライン)が入れば出来んのによぉ!」