君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第4章 Sp 米軍基地
ふと彼が座ってるところを見ると『American Football』という文字が見えた。多分雑誌だろう。しかも一見見る限り全部英語だ。
「アメフト…やってんの?」
「あ?…てめぇ知ってんのか?アメフト。」
「ボールを取り合うってことは知ってるけど詳しくはそこまで知らない。…あたしのクラスにアメフト好きの子がいるからさ。」
アメフト好きの子、その言葉に書いていた彼の手が止まる。
「…栗田か?」
「え、そうだけど。」
「あいつからアメフトやろうって誘われた。」
そうだよね。アメフトの指示とか書いてるんだもん。栗ちゃんが狙わない訳がないよね。
「…やらないの?」
「やらねぇ。」
「どうして?」
「…別に理由なんざねぇよ。」
止まってた手がまた動き出す。
「そっか。」
特別考える事はなく普通に返事をした。
それにしてもアメフトの事全然分からねぇや。
「ねぇねぇ。」
「うっせーな。まだ何かあんのか糞アマ。」
「初対面に向かってその呼び名ねぇだろ。」
思えば最初からあたしとヒル魔はこんな感じだった。
でもこの時のあたしはこいつと付き合うなんて思っても見なかっただろう。
「だから他に何が言いてぇんだよ?」
「…そのアメフト誌見せてくれない?」
英語だけで書かれていそうなアメフト情報誌。
少し彼の目が見開いた気がした。
「英語ばっかりで読めねぇだろ。」
「授業はサボってたけど英語とかは得意なんだぜ。」
その雑誌を手に取って1枚1枚見て行く。
なるほど、技能戦と頭脳戦を上手く使う訳ね…。
それぞれのページにアメフトの解説が事細かに書いてあり、選手紹介とかされていた。
「激しいんだね、アメフトって…。」
「体がぶつかり合うからな。怪我は多いと思うぞ。」
「思う?貴方、アメフト自体やってないの?」
まるでアメフトをしていない風に聞こえた。
「してねぇ。だが、賭けてる。」
「え、賭けてる?」
「1000$、米軍基地で。」