君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第14章 『天才とは努力する凡才のことである』
〜Narrator Side〜
抽選会を終えて、泥門の部員たちは波音を心配しながらもそれぞれ帰宅していた。
そんな中、栗田、ムサシ、ヒル魔の3人は波音を探していた。
「ねぇ波音ちゃんいないよ!帰っちゃったのかな…。」
「うるせぇな、糞デブ。黙って探せ。」
(神龍寺ナーガ…そんな名前聞いて、あいつが帰ってるとは思えねぇ。)
もしや、殴り込みに行ってるんじゃないか。
少しだけヒル魔にはやな予感がしていたのだ。
…だが。
「おい、ヒル魔…あれ。」
「…!」
ヒル魔はチューイングガムの膨らみを破裂させた。
「嫌だな、その話はやめておくれよ。」
「あれは面白かったよ。いずみが体育の時間でバク宙した後、壁に激突したのは本当に傑作だった。」
「…頭のたんこぶだけで済んだのが奇跡だわ。」
「ストップ、ストップだ。」
波音の姿。
…と、美水女子の制服。
波音は凄く嬉しそうに二人と話している。
すらりと高い背をした一瞬男性かと思わせるようなショートカットの中性的な顔立ちの女性と、物静かで厳かな雰囲気が感じられる長い髪の女性。
「……ねぇ、波音。今の仲間がお迎えよ。」
「…あっ、」
彼らの視線に気づいたのか、物静かそうな女性が波音に呼びかける。
「…上手くやっているようだね。」
高い背の女性がくすりと笑った。