君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第13章 双子
小学生になったあたしは姉に何か習い事をやってみたらと言われて試しに水泳をやったところ秘めた才能が開花して、みるみるうちに泳げるようになっていった。
普通の体育とかなら女子の中で1番になれる。
男子と戦っても上位にはなれる。
でも阿含にはどうしても勝てなかった。
だから、水泳だけは負けられなかった。
だって漸く自分が輝ける、最高の舞台だったから。
実際、小学校の6年間、水泳のテストだけは最後まで彼に負けなかった。
「才能はあるが天才じゃねぇな。」
阿含が最後に呟いた言葉。多分あたしの事を言ってたんだとこの年齢なって思う。
何でも1番になれる阿含。
天才にはなれないと分かっていながら弟に追い付こうとする雲水。
そして、凡人と天才の間の自分。
そんな2人と付き合っていくうちに男っぽい自分が誕生したと言っても過言ではない。
小学校中学年になると、阿含の女癖がさらに悪化する。
喧嘩を始めるとこの学校中に勝てる者がいなくなった。
あたしも実は数回、喧嘩をしたことがある。
知っている人との喧嘩はあんまり乗る気じゃなかったけど…。
それでも小さい頃は互角だった。
反応速度が怖いぐらい速いから苦戦はするけどまだ力が弱かったから耐えられた。
でも中学年に入ると力の差が現れて負けることが多くなった。
でも、不意打ちの殴りには反応できたけど。
総力戦はもう無理。あたしじゃあ、彼の相手は務まらなかった。
そして遂には相手が中学生の人となった。
中学生が相手なのにも関わらず勝ってしまうのはやはり天才からだろうか?