君との距離は3yard 【アイシールド21長編R18物語】
第12章 神龍寺ナーガ
イケメンとか、かっこいいとか言ってる場合じゃない。
対戦相手が悪すぎる。
「…美水女子に行ったお前が何で泥門にいる?」
外に出て壁に寄り掛かってポキッと棒付きの飴を折った時、後ろから懐かしい声がした。
「…そんなの辞めたからに決まってんじゃん、雲水。」
折った飴の棒を握り締めてその手をポケットへと突っ込む。
振り向くと坊主の頭をした阿含と瓜二つの顔がある。
阿含の兄、雲水。
天才と常に比べられてきた最強の凡人。
「波音は水泳で頂点を目指していたんじゃないのか?」
「…色々あってね、その夢は終わり。あたしはもうそんなの目指してねぇ。」
「小学校の時は荒れていたお前が中学入ってからやる気になって全国トップになった事を聞いた時は俺は嬉しかったんだがな…そうか。」
「小学校…ねぇ。」
雲水と話している所をたった今出てきた神龍寺ナーガのメンバーが見てヒソヒソと何か話している。
可愛いやら、背小さいやら凄く褒め言葉が聞こえてくるのは多分きっとあたしの耳の調子が悪いんだろう。
「あ゛〜?雲子ちゃん、なにしてんだよ。」
雲水の様子を見に来たのか背後から現れた奴の足が止まる。
「…ククッ、今夜は雪でも降るかぁ?」
雲水と知り合いって事は勿論、この最凶悪魔ともあたしは関わりを持っていた。