第1章 再会
学校の休み時間でクラスメイト達から嵐のような質問攻めをされた後とは思えない涼やかな顔をしている霜眞とひどく疲れきった俺は家に帰る途中だ。
昼休みも質問攻めにあい、2人きりになれる時間が下校しかなかったのだ。
「…ごめんね、りゅーちゃん…わたしのせいでりゅーちゃんまで質問攻めにあわせちゃって…」
「いや、そーまの家は他のとことは違って特殊だから仕方ねぇよ。」
「ありがと。あとね、さっきお父さんから連絡あってまたこっち戻って来いだって。」
「急だなまた行くのか!?」
「うん。やっぱり今の時期に帰国させるのは早すぎたって。3ヶ月ぐらいスウェーデンで高校1年生1年分の授業うけるの。」
「スウェ…大変だな……」
「ほら、うちのお父さん、決めたら即行動に移すタイプの人だから…」
「あぁ〜…確かに…」
「潔子さんにも迷惑かけちゃうなぁ…」
霜眞は正月休みだった頃に学校に来て、入部届を出していたのだ。その時、校長と教頭と色々話し合ったらしい。部活では潔子から色々なことを教わり、ノートにとっていた。
「大体家の空気入れ替えたから、そろそろスウェーデン行くよ。」
「そうか…せっかく会えたのに寂しいな…」
「うん………ねぇ…覚えてる?保育園でりゅーちゃんが言ったこと…」
唐突な質問に頭を悩ませる。保育園時代に言ったことと言えば思い当たる節がたくさんある。
「すまん、ありすぎてどれから話していいか分からねぇ…」
「そんなに!?……ジャングルジム」
「…あれか!!」
2人にとって、ジャングルジムとは保育園で1番思い出深いものだった。
霜眞vs男子'sで誰が一番早くジャングルジムに登れるかという競争をした。霜眞は可愛らしい見た目に反し、好奇心旺盛&わんぱくっ子というギャップで男女問わず人気だった。
霜眞はただの競争だと思っていたが、男子'sにとっては誰が霜眞に相応しいかという卑劣な争いをしていたのだ。もちろん、その中に田中もいた。
だが、アスリート並の身のこなしで男子'sを圧倒し、頂上を制した霜眞。
その場にいた園児、先生は口を開けたまま硬直していた。