第2章 最終兵器 ⚠
「おぉ〜♪それ観てるんだ!
映画のお供にピッタリなやつ作って良かった〜♪」
熱心に鑑賞してる田中の邪魔にならないようにテーブルに皿とコップを置く。
霜眞の存在にようやく気付き一時停止をする。
「サンキューそーま!すっげぇ美味そ〜♪」
大きめの皿に盛り付けてあるのは、切ったフランスパンの上にシュールストレミングと玉ねぎ、トマトといった野菜を盛り付けたものがズラリ。
コップには氷と共にシュワシュワと音をたてるソーダ。映画を観ながらでも飲めるようにストローがさしてある。
「足りなかったら言ってね♪他にも作り置きのおかずあるから」
「おう!いただきます!!」
大きくかぶりつく田中。
フランスパンは硬すぎずサクッとしていて口に入れた瞬間バターの芳醇な香りとマヨネーズの酸味が広がる。
肝心のシュールストレミングは塩気の効いた味でトマトとスライスした玉ねぎとの相性抜群だ。
見た目ではわからなかったがマッシュポテトが塗ってある。なめらかな舌触りとシャキッとした食感が心地良い。
「うんまっ!!!!」
「えへへ〜でしょ〜♪」
この大きさなら邪魔にならないしいくつでもいけそうだ。
映画を観ることを考慮して作ったのか…?
「やっぱそーまはすげぇなぁ…」
「すごい…のかな?あるもの切って潰して飾り付けてるだけなんだけど…」
「料理もすげぇけど食べることっつーか、なんて言うのかな…食べる人のこと考えてるとこがすげぇよな〜…」
「当たり前のことしてるだけだよ♪」
「ならなおさらだ!!
当たり前のことしてんのがすげぇんだよ!誰にだってできることじゃねぇぞ!」
「そっか…あ、ありがとっ…」
心で感じたままを素直に言葉にして伝える。
これも誰にでもできることじゃない。田中の言葉に裏がないことは霜眞が一番わかっている。
わかっているからこそ面映ゆい。
「…続き観なくていいの?」
「おっとそうだった!」
照れ隠しにそっと話題を変え映画に夢中になってる隙に隣に腰掛ける。
『もう少し近くいけるかな…』
もそもそとバレないように近付く。
チラッと顔を見たが、まだ夢中だ。
「…(こてっ)」
肩にもたれかかり甘えるように頭を擦り付ける。
「っ…」
田中は喉を潤そうとコップに伸ばしかけた手を途中で止め、霜眞の頭に乗せた。