第2章 最終兵器 ⚠
「…いや…別に……俺なんでここにいんのかなって…」
「え、シュールストレミング食べにきたんじゃないの!?」
「そうなんだけどさ……なんだかな…」
こんなりゅーちゃん見たことない……もしかして…
「…今日すっごく疲れて食欲ないのかな?」
「あー…多分、そーかも……」
嘘をついた。
ムフフな展開に期待を膨らませていたが結局最終兵器を食べることになって満身創痍になっているなんて言えるわけがない。これ以上彼の生気を取り戻すのは困難だろう。「やっぱ今日帰るわ。」と口にしようとした途端、
「じゃあうち泊まってく?」
ガバッ!!
条件反射したように一気に体が起き上がる。
あ……ヤベ………
下心丸出しなのがバレてしまう…
いや多分バレているだろう。霜眞の反応は…?
「ひぅっ…だ、だいじょーぶりゅーちゃん…?」
何が起こったのか分からないという顔をしていた。え、もしかしてバレてない?
「あ、お泊りやだったら帰って全然へーきだよ?いきなりうち泊まってく?なんて困っちゃうもんね…それにシュールストレミングだって明日にでも食べられるし、性急すぎたよね、ごめんっ」
あ、これバレてないわ。でも…
「いや、へーきだって!少しびっくりしたけどさ、ありがとな、そーま!」
「…うん♪今日は帰っとく?」
「そうさせてもらうわ、シュールストレミングは明日頼む!ぜってー食うから!」
「わかった♪じゃあまた明日ね♪」
「おうよ!!」
田中を玄関まで送り、見えなくなるまで手を振り続けた。
「……やっぱり…性急すぎたよねホント……」
ポツリと自嘲ぎみに呟く霜眞。
3ヶ月も会っておらず、美人に目がない田中のことだ。潔子に夢中になって、自分なんて二の次だと考えてしまった。実際そんなことはほとんどなかったし、信頼してないわけではない。
だが3ヶ月のブランクにより彼女の中の焦燥が大きくなり、表に出してしまっていたのだった。
りゅーちゃんを信じきれなかった自分が憎い…。
こんなの全然そーまらしくないよ…。