第2章 最終兵器 ⚠
「はい、どーぞ♪」
手渡されたのは魚の缶詰めだった。何語で書いてあるのか分からないのだろう、色々な角度から缶を眺めている。
「あの…これ何ですか?ツナ缶?」
「シュールストレミング♪」
ザワッ…!!
「?しゅーる…?」
この1年生はまだシュールストレミングという存在を認知していないらしい。缶を振って音を聞いてみたり切り口に鼻を近づけて匂いを嗅ぐ様子にざわめく周囲。
「そーま、おま、なんでそんなもん持ち込んでんだよっ…空港で没収されなかったのか?」
「お父さんに頼んで特別に持ってきちゃった♪だって日本でも食べたいんだもん。普通に美味しいんだよ?シュールストレミング。」
「やめろっ!!そんな最終兵器持ち込むバカがいるか!!!!」
「んも〜冗談だってば〜♪シュールストレミングを知らない人には絶対あげないからだいじょーぶ♪はい、これはわたし用のお土産として……ごめんね♪」
「あ〜俺のツナ缶〜…」
と小さな1年生からシュールストレミングを取り上げ、大事に、それはそれは大事にカバンの中に閉まった。例え冗談だとしても度が過ぎている。
「これが本当のお土産♪」
ポンッと手の中に小さなパッケージのお菓子が置かれた。
「ウエハースチョコだよ♪すごく甘いけど…。あ、チョコとかお菓子駄目ぇ〜という方いますか?別のも用意してあるので♪」
手際良く各部員にお土産を配る霜眞。
「潔子さんにはこれもどーぞ♪」
お菓子と共に、キャップ部分が少し上に反っている木魚のようなフォルムのボトルが手渡される。ボトルもラベルもシンプルながらとても可愛らしいデザインだった。
「Bliw(ビリーブ)のハンドソープです♪よければ使ってください♪」
「…かわいい。ありがと…♪」
うっすらと笑みを浮かべる潔子にすぐさま反応する田中。
「潔子さんが微笑んだ…!尊いっ!!」
無論、ガン無視。ガン無視に興奮を抑えきれない田中に近づき、
「りゅーちゃんにはこれね♪」
と金色のメダルのようなものを数枚渡す。
「ノーベル賞メダルをイメージしたチョコレートだよ♪味は保証しないけど、見た目は好きでしょ♪」
「おぉ〜すっげぇ〜!!サンキューな!!」
全員にお土産を配り終えた霜眞に向かって、1年生達が口を開く。