第3章 俺の部活動。
「んんっ」
律は大きく咳払いをし、自慢げに説明を始める。
「カメラにはモードがあって、代表的なのがオートとマニュアルというの。」
「ふんふん。」
「オートはカメラが設定をしてくれるけど、マニュアルは自分で全て設定するってもの。」
「ほぉ。」
「ここよ。」
律は瀬呂のもつ一眼レフの、上にあるダイアルを指差し、くるくると変えてみせる。
「これがオートで、これが…マニュアル。」
「へぇ…なんかいろいろあんのなぁ…。」
互いの顔がかなり至近距離になっていることにも気が付かないほど、ふたりはカメラに夢中だった。
一足先に律が顔を上げ、瀬呂の顔を認識し顔を赤くしてサッと引いた。
「んんっ。…ごめんなさい。えっと、じゃあどちらが良い?オートかマニュアルか」
「望月はいつもどっちなんだ?」
「私はマニュアルでやってるけど…」
「…じゃあマニュアル。」
「難しいわよ?」
少しだけいじわるそうな顔をする律にたじろぐ瀬呂だったが、負けじと声をあげる。
「言っとくけど俺一応頭いいんだよな。」
「言っとくけど私スパルタよ?本当にいいの?」
「望むところだっての。」
気合い十分に、瀬呂はバッと立ち上がる。
「おねがいしゃーす!」
「あっ、ストラップが首にかかってないわ!減点。」
「えぇー!!」
道はなかなか険しいようだ。