第3章 俺の部活動。
「うわぁ……綺麗に撮れてるじゃない。」
「うわぁってなんだうわぁって。」
「…別に。」
「エリ〇様か。」
カメラのメモリをひとつひとつ確認して、律はちょっとだけ嫉妬する。
本当になんでも器用にできちゃうのね。
私なんてすごく時間がかかったのに…
「ごめんなさい。上手に撮れていて嫉妬してしまったわ。」
「お…おぉ…そか。」
カチリ、カチリとボタンを押すと、色とりどりの素敵な世界。
ベンチや花、遊具で遊ぶ子供たち。
それからもうひとつ律がボタンを押そうとすると、瀬呂はパッと手を掴む。
「それで全部だよ。」
「嘘よ。もう一枚残っているもの。」
「だからそれは…失敗したっつうか…見なくていいっつうか…」
「でもこれは私のタフマリアよ」
「…やっぱタフマリア改名した方が良くないか?」
「気に入ってるのよ。えい」
「あっ」
その最後の写真に、律はめをまん丸にした。
瀬呂の最後の写真は、律の写真
夕日にキラキラと輝く律の横顔だった。
「あなた…これ……」
「いや…その…。」
律は口をきゅっとつぐんで
それから
「私の顔が失敗だと言ってるのね…」
「えぇっ!?」
と言う。
人より少し価値観がちがう律は、そんな突飛な発言をして、眉をしかめる。
「さっき言ったわよね…“失敗した”って…」
「あ、あぁ…。あれは」
「もういいわ。行きます。」
ムッとしたままタフマリアを引っ掴み、律は立ち上がる。
瀬呂の必死の弁解にも耳を貸さずに歩みを進めて。
「だから、そういう事じゃねぇだろ?」
「…瀬呂くん…。あのね。」
そこまで言うと律は、くるんと振り返る。
パシャリ
乾いた音が響いて、瀬呂は目を瞬かせる。
「お返しよ。隠し撮りの瀬呂くん。」
「…っ…!」
その笑顔は、キラキラかわいくて。
律が過ぎ去った後、瀬呂は頭を抱える。
また一本、とられてしまったと。