第3章 俺の部活動。
熱い言葉をこぼした律は瞬きをひとつして、それからハッと瀬呂を見上げる。
「ご…ごめんなさい…。少し恥ずかしいところを見られてしまったわ。もうタフマリアも返してもらえるかしら…。」
恥ずかしそうに顔を隠し、自身のカメラに両手を伸ばす。
瀬呂はそれには応じずに、両手でカメラをホールドし、律から遠ざけた。
「まてまて、」
「何するのよ。」
少しだけむっとする律に、瀬呂は真剣な顔をして告げる。
「俺はいいと思う。そういうのも。」
瀬呂は心に浮かんだ素直な言葉を、つらつらと口にする。
「そこまでこだわれるとか、そこまで好きなものがあるとか、すげぇ憧れるよ。かっこいい。恥ずかしくはねぇよ。」
ニッと笑って告げる瀬呂に律は、ハッと息を飲んだ。
「…そう、かしら…。ありがとう。」
恥ずかしそうに髪を耳にかきあげて、律は体勢を戻す。
「俺にも教えてくれよ。カメラ。」
カメラを構えた瀬呂は、また笑顔で質問をする。
「!!…えぇ、よろこんで!」
そう律が花のように笑った瞬間、パシャリとシャッター音がして。
瀬呂は撮った写真を見せつけて、
「なかなか才能あるだろう?」
と笑った。
先程の蝶々は、またも緊張感なくふたりの周りを飛び回っていた。