第3章 俺の部活動。
「へぇ、望月って写真部なんだ。」
「えぇ。小さい時からカメラが好きなのよ。わたしの、“タフマリア”よ。」
「いや名前。」
朗らかな笑みを浮かべながら、律は膝の上の大きな塊を撫でる。
「それ結構重そうだな。ちょっと持ってみてもいいか?」
「……いいわ。」
一瞬嫌そうな顔をされた瀬呂は少しだけ躊躇ったが、すっと膝の上に乗せられたずしんと重たい物体に素直なリアクションをとる。
「うわっ!マジでおめぇ!凄いな!こんなの持ち歩いてんのか!」
「まぁ、時と場合によってはもっと重たくもなるけど…」
少しだけ頬を赤らめ、得意げに話す律に、瀬呂はフッと頬を緩める。
「すげぇな…。最近の女子ってこんなの持ち歩いてんだな。」
「そうなの?流行ってるのね、一眼レフ!素敵だわ!」
律嬉しそうに返しながらもテキパキと手を動かし設定を変更する。
撮らしてもらえるのか、とわくわくしながら瀬呂はペラペラと口を動かす。
「いや、あれ、最近よくいうじゃん?“インスタ”とか“インスタ映え”とか、“カメラ女子”!!」
「あ……。そうね…。」
その一言が律の地雷てあったことは、よく気のつく瀬呂でなくても分かっただろう。
彼女の顔は一瞬で色を失ったのだから。