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短編集【ONE PIECE】

第2章 艶羨は白煙の中に


船は当初の目的地から少し外れた場所に停泊する。
ここは、つい最近話題となった麦わらが再び降り立った場所、白ひげとエースの墓標。
今日、同じ一味の龍騎士が、その地を訪れた。


街はまだまだ復興作業が始まったばかりで、あちこちで工事をしていた。
それでも広場は賑わっていて、皆少しずつ元の生活を取り戻そうとしている。

俺たちは先陣を切り歩いていくxxxxの後ろをぞろぞろついていった。
街の入り口に来ると、忙しそうに行き交う人々の手が止まり、少しずつ騒ぎになり始める。
麦わらが現れた時も同じだった。
しかし、その時の様子とは些か異なっていた。

皆、目を奪われたようにxxxxを見ている。
誰もかれもが手を休め、次第に言葉を発することを忘れ、xxxxだけを見つめている。

ピンヒールをカツカツと鳴らし、ロングコートをたなびかせながら悠然と歩く女。
身に纏う風さえも優雅に着こなす様は、一流のショーモデルのようだ。
深くかぶった帽子とサイドにかかるロングヘアの隙間から除く端正な顔を、太陽がきらきらと縁取る。
まるで舞台のワンシーンを切り取ったかのように感傷的で、美しかった。

皆その人物が誰か、分かっているはずだ。
それなのに、騒ぎになるどころかただ茫然と立ち尽くしている。
生存していたということ、船長とすれ違いで現れたということ、海軍を従えているということ。
混乱する要素は多々あるというのに、麦わらの一味・xxxxがこの地に戻ってきたことよりも、目の前の美しい情景を受け入れるのに精一杯なのだ。

一身に視線を浴びながら、xxxxは白ひげとエースの墓標の前で立ち止まる。
周囲にできたギャラリーも足を止める。
xxxxは麦わらがそうしたように、緩やかな動作で帽子を取ると胸にあてた。

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