第1章 寮生活①
【お茶子】
1人でおるんは寂しかった。
もちろん、父ちゃん母ちゃんが帰って来たらすごい嬉しかったんやけど。
だから寮生活は、親元を離れる寂しさや不安もあったが
みんなとおれるという嬉しさもあって。
寮に入って、広間に行けば誰かおる。
ただいまの返事がある…
雄英高校から帰ってきたら、まず広間
広間におる人とおしゃべり
その流れが私の定番になっていた。
もちろん誰もおらんときもあるけど、広間にいたら誰かが入ってくる、その時にお話ができる。楽しくて安心した。不安や寂しさを埋められてる気がして。
寮っていいなぁ。
今日の広間にいたのはデクくんやった。
デクくんは…少し地味だし髪もモサモサしてるけど、優しくて、強くて、前を向いてる。私の憧れだった。クラスメイトとして大好きだった。
《キミ、カレノコト、スキナノ?》
ふとした時に、青山君が試験中に変なこと言ってきたのがたまに思い出して頭を巡る。
私がデクくんに抱いてるのは、そんな気持ちじゃない!!!
と、自分を納得させている。
初めは意識した態度とってしまいよったけど
最近はやっと普通に話せるようになってきた…
轟君も入ってきて、いつものように他愛のない会話を繰り広げていた、その時だった。