第2章 大人になって①
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店を出て、とりあえず俺の家の方向に歩き始めてふと気がついたことがある。
デクに送らせないがために勢いで送る、なんて言っちまった。
なんであいつに任せたくなかったんだろう、ただの独占欲なのだろうか…
悶々と考えているうちに、足はふと自宅へと向かっていた。
そういえば、俺はこいつの家を知らねえ
送ると言いつつ帰宅してるなんて不覚だった
肩に担いだ丸顔のほっぺをつねるが、ビクともしない様子でむにゃむにゃと寝息を立てている
人の気も知らないで何のんきに寝とんだ、と少し苛立ちはしたものの、無事に自宅であるマンションに到着した。
さて、ここからどうしたものか…
まあいい、この時間でもまだ終電はあるし、最悪タクシーで送ればなんとかなるだろう。とりあえず自分の家に入って考えよう。
ドアを開け、家に入るとまず丸顔をソファーへ投げ捨てた。
バフ、という音とともに低反発のクッションに吸い込まれていく。本当におもちのようである。
俺は明日、休みだからいいが…とりあえず、お風呂に入っておこう。汗とタバコの匂いがする服を洗濯カゴに投げ捨てた。
これから悲劇が始まるとも知らずに。
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目を開けると、先ほどまでウルトラの広間にいたはずの景色が180度くらい変わっている。
は?部屋?え?!ん??
辺りを見回してみたり何度か瞬きをしてみるが、現実のようだ。しかも、自分の部屋ではないようだった。
一体どうなっとるん??
もしかして、これが噂のお持ち帰りってやつなん?!ええ?!誰に持ち帰られたん?!?!いやいや、でも連れて帰ってくれたのは女子かもしれんし
いやまさか、これは夢?
そうだ、夢だ!夢に違いない。
頭の中で繰り広げられる想像が止まらず、混乱するのは仕方ないことではあったが、[夢であると考えると全て納得できる!]とよく分からない結論に至ったお茶子は、せっかくだから自由に探索しようと部屋の徘徊を始めた。
探索してみると、お風呂の電気がついていてジャアアアアという音がしていた。誰か入っているらしい。
どうせ夢ならいいよね!!!
ゆっくりとドアに手にかけた。
ガチャ
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