第1章 寮生活①
「俺がどうかしたのか」
頭上から低く静かな声が聞こえる
同時になんだかいい匂いがした気がする。
「「轟くん!!」」
デクとお茶子がバッと振り返る
「轟くんは、雨好きなん?」
お茶子は丸い瞳をパチパチとしながら轟を見つめる
不可抗力で上目遣いになっていただろう
「ん‥ああ、俺はあんまり好きじゃないかな」
「よねえ!梅雨の話しよったんやけど、うちは癖っ毛やから、髪の毛うねるし…サラサラヘアに憧れるよねって…轟くんみたいな」
お茶子は少し膨れながら、自身の髪をくるくるとし轟の髪の毛を見つめる
「そういえば、緑谷も麗日も癖っ毛だな、見る感じ‥」
「そうなんだよ。もう梅雨入りだし、髪の毛のうねりと毎日戦うって考えたら…」
はぁ、とお茶子とデクは気分を落とす。
その時だった。
Dooooooooooooooon!!!!!!!!!!!!
「うお…」
「!」
「ひえええっ!!!!!!」
一瞬で目の前がフラッシュを焚かれたかのような光で覆われ
耳には低く大きな雷の音が響いていた
その後の2、3秒ごにはザァァァという雨の音が聞こえ始めた
「ちょっとびっくりしたなあ…もう本降りだね…て、麗日さん?!?!」
先程まで普通にソファーに座っていたお茶子だったが、デクの視界から突然姿を消した。と思ったら下で震えるお茶子を発見する。
「だ、大丈夫??雷苦手?」
デクは心配そうにお茶子を覗き込む
「あ、あはは!!!ごめんごめん!!少しびっくりしてしまったわあ…あは、あはは…」
明らかな動揺を滲ませながら、頭をぽりぽりとする動作を見せる
「…大丈夫か?」
お茶子の同様ぷりに、流石に驚いたのか轟まで声をかけて来た。
「あ、あはは!!!!う、うん!!!大丈 【Doooooooooon!!】」
床から立ち上がろうと腰を浮かせた瞬間だった
お茶子の声をかき消すかのように第2派が響き渡った
デクと轟がお茶子を見たときには既に遅く、お茶子は目に涙を沢山溜めビー玉のような瞳をくるくると回す
「あ、は、ははは…あかん、かったわあ…」