• テキストサイズ

僕のヒーロー

第1章 寮生活①


寮生活が始まって、まだ1週間

麗日お茶子にとって、寮生活は快適そのものだった。

実家より広めの1人部屋
エアコンの効いた広間
バランスの良い食事
何より、帰ったら誰かいるという安心感。
一人でいなくていいという安心感‥

お茶子は小さい頃から一人で家にいることが多かった。

お茶子の家は、建築を営んでいるが
なかなかお仕事もないし、
両親は優しさに付け込まれ多額の借金を背負っていた。
そのため、両親は建築の仕事がない裏の時間で
出稼ぎやアルバイトなどをして生計の足しや借金の返済にあてていたのだ。


1人でお留守番は寂しかった。

帰ってきてタダイマといってもなんの反応もない部屋
学校であった話を聞いてくれる人もいなければ、

雨の音も雷も一人で耐えなければならなかった。

節約をしようと思って電気をなるべくつけないようにしようとしていたお茶子は、暗闇の中1人で耐える
お留守番の時間が嫌いだった。




「たっだいまあ!!!」

お茶子が帰ってきて最初に勢いよく駆け込むのは、
自分の部屋ではなくまず広間。

「あ、麗日さん!おっおおおおかえり!!」

'少し地味目で髪がもさっと‥…そばかすがある男の子'が
ソファーからくるりと振り返り応答する。
彼は女の子と話すことに慣れておらず、突然の女の子のただいまに
ドギマギしていた。

彼の名前は緑谷出久。

お茶子のクラスメートだ。

「今日じめじめしとって暑かったね〜、もう梅雨はいるんやか…」

鞄を机に起き、ソファーに腰を下ろしながら、梅雨入りを予感して気だるそうに声を発する。

「う、うん!!今朝のニュースではもう明日から梅雨入りって言ってたよ。」

隣に女子が!!座って来た!!とこれまたドギマギしながら、平然を装おうとテレビをつけながら、デクが答える。

「ああやっぱし‥梅雨は髪がモサモサするし、ベタベタするし、何よりなんかどんより空なのが‥…あんまり好きになれんのよね…」

「僕もそうだよ…ただでさえ癖っ毛なのに、雨の日は最悪なんだ…」

モサモサの髪を触りながら出久も落ち込みを見せる

ストレートの髪っていいよね、
といいながら2人でたわいもない話を続ける


「轟君の髪みたいなね、サラサラ〜てしてたい‥」

お茶子が自分の毛先を両手でくるくると捻りながら遠くを見つめる


/ 29ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp