第2章 大人になって①
ワイワイガヤガヤと、盛り上がってきた頃だった。
女子のテーブルは恋バナへと突入していた。
やばい。なんかテンション上がりすぎて結構飲んでしまった。
女子のテーブルのお酒の進み具合は結構早くなっている気がする。
「ヤオモモは、今は彼氏とかさ、好きな人いないの?」
とろんとした瞳で耳郎が頬杖をつきながらたずねる。
「えっ、ええ!!私ですか??えーっと…その…」
さっきまで凛々しかったのに、たじたじとし始める。いや、可愛いすぎんかこの生き物。という視線を耳郎が送っている。
「否定しないってことは!!!」
すかさず、芦戸が第2矢を投げる。
「あの噂って本当なの???」
「え…噂???」
八百万は目をパチパチとさせ、何のことですの?と尋ねるが、ニヤニヤと迫る芦戸に思わず後ずさりしてしまう。
「轟と、ヤオモモ、両思いだった!!ってやつ!!」
言われた途端に耳まで真っ赤になるもんだから、すぐにバレてしまう。
「やだもお可愛すぎヤオモモ。ご馳走さま。」
と耳郎がイヤホンジャックで八百万をつっつく。
「ち、ちがいますわ!!その、あの…違うとも言えない部分はありますが…」
少し酔ってきているのだろう、指をもじもじしながら話を続ける。
「私が、轟さんを慕っているのは事実です。でも轟さんは私のことなんて、眼中にありませんわ」
少し悲しそうに俯いてしまうが、こんな可愛い生物をすきにならない奴なんているのかと思う。
八百万のラブトークをひたすら堪能したあと、八百万から不意に多方向に矢が飛ばされる。
「わ、私の話はこれまでですわ!!皆さんのお話も聞かせてください!!」
プリプリと両手を机に伸ばしながらいう八百万であった。