第2章 大人になって①
「おっ、爆豪!麗日!!」
店に到着すると、店の前で上鳴が声をかけてきた。
「切島で予約とってるから、中入っててー」
どうやら、みんなを外で待っていて案内しているのだろう。さすが幹事。手際が良い。
「てか、お前ら一緒に来たんだ。」
上鳴がなんだか察したかのようにニヤッと笑うが、すかさず爆豪が「ア?こいつが勝手についてきただけだ!」と悪態を吐く。
相変わらずやなあ、となぜかこのやりとりを見て安心してしまう。
中にはいると、早速店員から声をかけられた。
「いらっしゃいませ。切島さんでよろしかったですか?」
おう、という無愛想な爆豪の答えにも
「お待ちしておりました。こちらの通路を通られて右手のお部屋です」
と笑顔が素敵で、すごく感じのいい接客だ。
廊下の壁沿いには、オールマイトを中心とするさまざまなヒーローの写真が飾られている。
中には名シーンのもの、コアなヒーローの写真まで…ヒーロー好きにはたまらない雰囲気のお店、だと思う。
「あ、相澤先生までおる!!」
メディア嫌いの相澤先生は、なかなか他のヒーローと違い、CMはおろか雑誌の取材までお断りするというのに、写真が掲示されているなんて珍しい。しかも戦闘シーンである。
店主と仲が良いのだろうか?
中に入ると、もう結構何人か揃っていた。広間で宴会タイプの飲み会のようだ。広間にも、ヒーローの写真が飾ってあった。
「あ、麗日〜!ひっさしぶりー!!」
女子は女子で固まっているようだ。芦戸から声がかけられる。
「みんな久しぶり!!」
お茶子は女子軍の机にパタパタと向かった。
久しぶりにみんなに会えたということで胸が高まっていく。
どんどん人が揃ってくる。なんだか懐かしい気持ちでいっぱいになり、すごく嬉しい。
あと、まだ来てないのは…
あたりを見回しても、男子側の席を見ても、いない。彼が来ていない。
「あれ、そういえば」
ケロケロ、っと梅雨ちゃんがふと思い立ったかのように話を始めた。
「切島ちゃんと緑谷ちゃんは、まだきてないのかしら」
デクくんがおらへん。