第2章 大人になって①
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「あかんかった、声、でらへんかった」
声が震える
「まるが…」
遠慮気味に爆豪くんが声をかけてくる
あの爆豪くんが助けてくれるなんて思いもしてなかった。
は、あかん。プロのくせにこんな…
あんな奴ら、追い払えんなんて逆に恥ずかしい。
なんともなかったふりせんと。
ふと、とっさに近づけた体を剥がし、
手をブンブンと振りながら、笑ってみせる
大丈夫、うまく笑えてるはず。
「ごめんな、助けてくれてありがとう!!爆豪くんに助けてもらうなんて、悔しいわあ…ウルトラ、行こっか!そろそろ時間やし…」
「…らしくねえ笑顔見せてんじゃねえよ」
バッと顔を上げると、真面目な顔してうちを見下ろす爆豪くん
てっきり、クソコラテメェ丸顔、何あんな奴らにビビってんだ!とか言われると思ったのに。
こんな顔の彼は初めて見た。
なんか調子狂う。
「行くぞ」とポン、と頭に手を乗せられて
あまり多くを語らないまま彼は前をスタスタと行ってしまう
ん?
あれ???
頭が少し混乱気味、顔も少し熱い。
でも確かに胸が、キュンとした、気がする。
しばらく立ち尽くしていたが、おいこら丸顔、何やってんだ遅刻するぞ!の声に喝を入れられ、急いで走り出す。
置いてかれないように、チョコチョコとついていくお茶子であった。