第7章 事件のすべて
「んぁ…」
「はぁはぁ…これ見て俺との今日のこと思い出すの?」
「んっ…そう…だって離れたくないもの…ぁ」
浮気相手にまたがり虚ろな目をしたリリーを見た僕は絶望でしかなかった
その日の日付は僕の誕生日で、そして何よりも目の前の画面には僕の知らないリリーがいたから
「こんなのリリーじゃない…もっと可愛い誠実な子なんだ…」
そう自分に言い聞かせることしか出来なかった
今まではリリーの為にと仕事をしてきたつもりだし、リリーが欲しいと思うものは全て買い揃えた
そうすれば自分が家にいない時にもリリーが満たされていると思ったから
けれど彼女は違った
簡単に男にまたがって腰を振ったりなんて…
いや、違うはずなんだ
あれはリリーじゃない別の何かで僕を試しているのかもしれない
けれど以前、彼女と喧嘩をした日も僕の知らないリリーがそこにいた
あのリリーは僕に反抗的で僕がこんなにも愛しているのに何も分かっていない
子供だって僕には必要ない、僕だけを見ていてほしいから
どうして彼女は僕を知ろうとしてくれないんだろう
そんなことも考えて行くうちに僕はまた1つ秘密を知ってしまう
こっそりと仕掛けておいたカメラには宅配員と僕の家で必要以上に密着する2人が映っていた
こんなリリーは見たくなかった
あの宅配員は簡単にリリーに触れて、満足気に帰っていく姿は腹立たしい