第17章 two faces〜2つの顔を持つ復讐者〜【荼毘/切甘】
少し下がってろ、と荼毘に言われ少し離れる
荼毘の右手に青い炎が纏う
『青い炎…これが、荼毘の個性…?』
青い炎を纏った腕を屋敷の玄関に付けるとゴォォォォォと凄い勢いで燃え広がる。
ヤクザ達が中からぞろぞろと15人出てきて私達に襲いかかる
荼毘に掴みかかろうとする腕を刃物に変える個性のヤクザは顔を掴まれ青い炎に全身を焼かれた。銃を私に向けて発砲するヤクザもいたが、私の気体化で弾はすり抜け数メートル先にいた仲間のヤクザに当たる。
2対15…圧倒的なまでの人数差だが、個性を駆使しての戦いでは私達に部があった。
気体化を解いて次の攻撃の為私が実体化した瞬間ヤクザの個性で巨大化した鉄釘が私の上に降り注ぐ
『(ダメだ!個性解いたばかりで避けきれない!!)』
私の個性、液体化や気体化を解いて実体化する時に生じる弱点であるタイムラグを突かれた。
ザク!ザクザクッ!!
釘が刺さったはずなのに痛みを感じない…
とっさに瞑った目をゆっくり開けるとそこには私を庇って腹部と足、三ヶ所に釘が刺さって大量に血を流す荼毘の姿…
『荼毘っ!』
「……どうって事ねぇ、とっとと片付けるぞ」
青い炎を出して敵を一層する荼毘の後ろ姿を一瞬、親の仇の男と重なって見えた…。
…そんなわけない。荼毘なわけ無い!
私の両親を殺した炎は青じゃなかった。
けど、荼毘が今使ってる炎が青だってだけで赤い炎も使えるとしたら…?
それに彼の継ぎ接ぎだらけの顔…
あれは素の自分の顔を隠すために作った顔かもしれない
今まで炎を使わなかったのだってきっと……。
「……ぉぃ」
「おい……」
「おい!楓聞いてんのか?」
『…………え、』
「終わったから帰るぞ。さっさと歩け」
表通りは警察やらヒーローやらに包囲されているため私達は路地裏に身を潜めていた。
私の前を歩く荼毘を見る。
荼毘に対する気持ちが好意的なものから疑惑へと変わっていった。
荼毘が仇じゃないと信じたいけど、信じるきるにはあまりにも私の知る荼毘の情報が少ない。
歩いてアジトに向かう。
『ねぇ、荼毘って今何歳なの?』
「歳なんて忘れた」
『今まで何か目立った罪とか犯して来た?』
「連合入ってからはまぁそこそこ」
『………荼毘の個性の炎は赤いのも出せるの?』
「今日はやけに質問が多いな」