第17章 two faces〜2つの顔を持つ復讐者〜【荼毘/切甘】
荼毘の人間らしい一面が見えてから私が荼毘を好きになるまではそんなに時間がかからなかった。
ヴィラン連合の人たちも最初はどんな怖い人達なんだろう?と思っていたけど私が思っていたよりずっと普通だし
みんな可愛い一面があったり仕事での私のミスをフォローしてくれる優しい一面があったりするのを見てこの人たちは確かに悪い事してるけど、この人達の人格全てが悪というわけではないんじゃないかと思えてきた。
荼毘と一緒に行動してる間に私は荼毘を無意識のうちに目で追っていて、一緒に歩く時の距離感も心なしかどんどん縮まっていることにも気づいた。
そんなある日…
「楓ちゃん、恋してますね?恋ばなしたいです!」
『ふぇ!?こ、恋!?//////』
トガちゃんにそう言われ私は顔が一気に赤くなる
「相手は誰?当ててあげましょうかぁ〜?」
ニヤニヤしながら私の周りを回るトガちゃん。
『い、いやいやいや!恋とかじゃないからっ!全然!!』
「隠さなくてもいいです!恋する乙女、私大好きです!応援します!!」
『んもぅ〜!だからぁ…/////』
「楓、イカレ女と遊んでんじゃねぇ今から仕事だ。行くぞ」
荼毘は後ろから私を羽交い締めにして黒霧、ワープゲート開けと命令する。
「あらら、残念です。王子様が来ちゃいました♡
デート頑張ってね〜!」
『で、ででデートなんかじゃないよ!仕事よ仕事っ/////』
そんなやりとりをしていつも通り仕事に向かう。
今日のも個性使うまでもなく簡単に終わるだろうと思っていた…
「今回は今や絶滅危惧種のヤクザ狩りだ。死穢八斎会ほどの規模じゃねぇ…小さい組織だが俺とお前が仕事でいねぇ時にヴィラン連合に喧嘩売って来たから潰してこいとのお達しだ」
『…なるほどね、けどその小さい組織で連合に喧嘩売ってくるなんてなに考えてんだか』
「さぁな…だが、今回は個性使わずなんて舐めプできねぇぞ」
武器である脇差を持つ手に力がこもる。
黒霧のワープで飛んだところから少し歩いてヤクザの屋敷に辿り着いた。