第17章 two faces〜2つの顔を持つ復讐者〜【荼毘/切甘】
「あり?私のナイフは??」
「ほう…やるじゃねぇか」
継ぎ接ぎだらけの男が軽く拍手をする
『これでも、私必要無いですか?』
ナイフの先端を死柄木の首に付け血が少し流れる
「……早いな」
黒霧のワープが間に合わないくらいの早業で背後を取られた死柄木は素直に私の実力を認めてくれた。
「分かった。仲間に加えてやるよ…だがな、次やったらどうなるか分かってるよな?」
死柄木はナイフを持つ私の手首に指を4本かける
『申し訳ありません。以後気をつけます。』
「あぁ、お前は礼儀ってもんがちゃんと分かってるし腕っぷしも悪くねぇ…気に入った」
『恐縮です。』
すぐさま手も気体化、手に持っていたナイフはカウンターに転がる。
気体になった私は自分の服が散らばっている位置に戻って気体化を解いた瞬間持参していた毛布にくるまる。
「おぉ!凄いね、凄いね楓ちゃん!!
私トガです!トガヒミコです!!これから仲間だね仲良くしようね!今の個性解いた時私の変身解いた時と似てるね!」
トガヒミコと名乗る女子高生が私の手を取って無理矢理握手し、上下にブンブン振り回す。
『トガちゃん、ね…よろしく』
「気に入ってくれた様で良かった、手数料は弾んでくれよ黒霧さん」
「ええ、お金に関してはまた後ほど…」
黒霧の返答を聞いて、じゃあ今日はこれで失礼するよと言ってブローカーは帰っていった。
毛布の端を結んで隅っこの方に行って服を着なおしていると
「お前変な個性してんな」
継ぎ接ぎだらけの男が話しかけてきた
『変わった個性ではあるけど変だなんて言われる筋合いはないわ、あなた名前は?』
「今は荼毘で通してる」
『通してる…と言うことは本名では無いのね?』
「本名は出すべき時に出すさ」
『そう?まぁいいわ…よろしくね』
ニコッと作り笑いをして握手を求めるが、握手に応じることなく荼毘は私の横を通り抜けて私の耳元で「……変な女だ」と囁いて部屋を出ていった。
そう、これが荼毘とのファーストコンタクト。
私の彼への第一印象は、何考えているのかよくわからない男…だ。