第17章 two faces〜2つの顔を持つ復讐者〜【荼毘/切甘】
私は、両親の仇を討つ為に去年プロヒーローのライセンスを取得した。仮免は士傑高校在学中に取得していたからスムーズに取れた
私の個性は液体化と気体化
その名の通り身体を液体化させたり気体化させたりできる
着ている服や持っているものは液体化、気体化できないのが難点!だが、潜入捜査等にはとても向いている。
私は、この個性とヴィランに顔が知られていないというメリットからか3日前に事務所からヴィラン連合への潜入捜査を命じられ
USJ事件の主犯である死柄木弔と黒霧と脳無の資料を貰ってそれをひたすら暗記した
潜入なんてどうすればいいのかよく分からなかったが夜の繁華街の路地裏に毎日訪れ、ヴィラン連合に入りたいと言って回っていたらその手の大物ブローカーに拾われてあっさりヴィラン連合のアジトに招待された。
連れていかれた先は、ビルの中にある隠れ家的なバー
「死柄木さん、いい戦力になりそうな女見つけてきたぜ」
そう言ってブローカーは私を室内に通す。
顔や体に手がたくさんついた男、死柄木弔は私を指差して
「で、その女は?」
とダルそうな声で聞いてきた。
部屋には資料にあった死柄木弔と黒霧、そして資料に無かったクリーム色の髪のナイフを持った女子高生と継ぎ接ぎだらけの黒髪の青年もいた。
『高橋楓です。』
「彼女は、両親をヒーローに殺された復讐者。
個性は液体化と気体化…その名の通り身体を液体化させたり気体化させたりできる。潜入や隠密行動に長けた能力を持つ諜報員向きの女だ」
本当はヴィランに殺されたんだけど、設定としてヒーローに殺されたという事にしておいた。
「潜入や隠密行動?必要ねぇな…俺が欲しいのは純粋に強い奴だ」
ブローカーの説明を聞いた死柄木がそう答えた事にムッとした私は、すぐさま気体化した
「まずい!死柄木弔っ!!」
カウンターの向こう側にいる黒霧が死柄木の方を振り向く
「(これは気体化…!何処から攻撃してくるか分からないからワープさせようがないですね!)」
必要最低限の右手だけを実体化させ、クリーム色の髪の女子高生からナイフを奪い死柄木の首元に突きつけた