第11章 僕が愛した人は…【緑谷出久/裏】
あれから10年近く月日が経ち
僕らもそろそろ結婚を考える年頃になった
けど、僕は今でも楓を忘れることができないどころか
楓が明日かっちゃんと結婚するという事実のせいで諦めたくない、僕のものにしたい!という想いは強まっていく一方で
とうとう僕は楓を食事に誘って彼女の飲み物に睡眠薬を混ぜて飲ませ、拉致してきてしまった。
僕のベッドに全裸でスースーと寝息をたてて整った顔で眠る楓の手にはアダルトショップで売られていた手錠が嵌められている
僕は、楓の身体をゆるく抱きしめる
「……楓、好きだよ。どうして僕じゃなくてかっちゃんを選んだの?僕の方が君の側にずっといたし君の事こんなにも愛しているのにっ」
僕の頬を伝う雫は楓の頬に落ち、耳の方へと垂れていく
溢れ出す想いを抑えきれず僕は心地好さそうに眠る楓の唇に唇を重ねた
徐々に食べるように貪るように舌を絡めていくと彼女は目を覚ました。
『んっ…んぅ!?….っちゅ、はぁ…出久、くん?え、何で!?』
目を覚ました彼女は自分の格好を見て更に驚き、近くにあった掛け布団の中に潜り込む
『なんでっ…こんなこと!』
「なんで?聞かなくても分かってるよね?僕は楓が好き
高校の頃からの初恋…僕は君の事を今まで忘れられなかった
それはきっとこれから先もずっとそうだと思う
君は明日かっちゃんと結婚するってのに、僕はこんな思いを引きずりながら君達を祝福なんてできない
好きだよ、楓…今だけで良い。僕のものになって?」
僕は楓を掛け布団の中から引き摺り出そうとするが、楓は手錠の掛けられた両手で掛け布団を掴んで必死に抵抗する。