第1章 誘惑バスタイム【緑谷出久/裏】
デクくんの居なくなった部屋に1人ぽつんと座って宿題をする私
でも、クラスの中でも上鳴くん並みに成績のよろしくない私がいくら宿題と睨めっこしてても解けるわけがなく………
『あーー……分かんない!次の問題全っ然分からない!!
デクくん出てくるまで私も休憩しよう!』
自分のキャリーバッグの中から漫画を取り出そうとして上に乗ってた自分のパジャマを退かした
『………あれ?デクくんさっき着替え持ってかなかった、よね?』
私はデクくんの部屋からお風呂場に向かった
コンコン…
脱衣所の扉をノックしたがシャワーの音にかき消されてその音はデクくんに聞こえていない
『デクくん着替え持ってかなかったよね?
持ってくるの忘れたなら私とってくるけどどこにある?』
脱衣所の扉の前でそう聞いてもシャワーの水圧が強いのかこの声もデクくんには届いていないようだ
『デクくんっ!開けるね!!』
開けた先に着替えが置いてあれば何も問題は無い
着替えが置いてあるのを確認してそのまま扉を閉めればいいと思って開けた扉の先には一糸纏わぬ濡れた体のままタオルで髪の毛を拭いているデクくんの姿
出久「わっ楓ちゃん!?」
『デクくんっ!ご、ごめんすぐ出てくからっ!!』
出久「あ、待って…!」
扉を閉めようとする私の手を
傷だらけで武骨な彼の手が少し強めに掴んだ
出久「あの、さ……僕ら付き合ってるんだし、その…
僕は君と一緒にお風呂入りたいな、なんて…あ!でも嫌なら嫌って言って…ね?」
突然であり初めてデクくんにお風呂に誘われた私の顔は一気に赤くなった
一糸纏わぬ濡れた体のままの彼から目を背けながら掴まれていない方の手で赤くなった自分の顔を抑えた
デクくんとそういう事をしたことない訳ではない
ただ明るい場所で肌を晒したことがないから戸惑っている
けれど、断った所で素直に逃がしてくれるわけがないことは彼と付き合ってから充分わかってるから…
『…あっ、えっと………別に嫌じゃ、ないよ?』
私がそういうとデクくんは少しホッとした表情を浮かべて
私を脱衣所の中に引き入れ扉を閉めた
背中には脱衣所の扉、前にはデクくん…
今の私はデクくんに壁ドンされてるような状態
出久「…着替え忘れてくれば楓ちゃん絶対お風呂場に来てくれると思ってたけど大成功だったなぁ」