第29章 敵は味方のふりをして近づいてくる【義爛/シリアス】
ズォォォオ………
不思議な音が聞こえてきて、私は目をうっすら開ける。
すると、そこには黒いワープゲートができていて義爛がその中から出てきた。
「なっ…なんだ!?」
『義爛……!』
「待たせたな楓、そして久しぶりだなぁ…メイキング」
「義爛っ!」
「俺の姿で随分いろいろやってくれたみたいじゃねぇか、全部遠くから見させてもらったよ」
「あの視線の正体はお前だったのか」
「ははは、鈍い野郎だな。3日も監視されてるのに誰に見られてるか分からねぇなんてよ!さて、そろそろ年貢の納め時ってやつじゃねぇのか?今までの借金利子つけて全部返せ」
「誰が返すかよ、今度はお前の個人情報使って金借りてくるつもりでいたんだからよ!!」
義爛はタバコを一本取り出して拳銃型のライターで火をつける
フィルターに口をつけて口から煙を吹く。
「おい小僧、あんま調子乗るなよ?
俺はお願いしてるわけじゃねぇ。命令してんだ。」
ギロッと鋭い目つきで義爛はメイキングを睨みつける。
メイキングはビクッとした後私の額に向けていた銃口を、義爛へと向ける。
「ほう、いい銃持ってるな〜コンバットマグナムか!正式名称[S&W M19]。[.357マグナム弾]っつー威力高い弾が込めれるアメリカ警察御用達の一品。初心者向けの銃だから比較的扱いやすい。…ってそんなもん買う金あるなら借金返せよ」
嫌味っぽくニカっと笑う義爛の口。
欠けている右前歯からくわえ煙草の煙が漏れる。
「うっせぇ!死ねぇぇぇえ!!」
メイキングが義爛に向かって発砲する。
ドン!ドン!
発砲された二発の弾を義爛は手に持っていたシルバーのアタッシュケースでガードする。
「んなっ!?」
「そんな驚くこたぁねぇだろ?
俺の扱ってる商品の1つに武器も入ってる。その特性を知ってりゃアタッシュケースで弾はじくくれぇなんてこたぁねぇ!」