第21章 もしも願いが叶うなら…【轟焦凍/切甘裏夢】
「不釣り合いなんかじゃねぇ…楓は俺には勿体ないくらいできた女だ。けど、俺がお前を守ってやれなかったからこんなことに…」
『もういい…もういいよ、焦凍…別れよう。』
「別れねぇ!お前を傷つけるやつは俺にとってファンでも何でもねぇ…そんな奴らの言うことお前が間に受ける必要どこにもねぇんだ!!だから…お願いだから、別れるなんて言うな」
楓を抱きしめると楓も震える手で抱きしめ返してくれた。
『良いの?…私、まだ焦凍の隣にいて…』
「あぁ、俺がお前の隣にいたいんだ…楓じゃなきゃダメなんだ…」
『…嬉しい、焦凍ありがとう。私もっと強くなるよ…誰に何言われても焦凍の隣にいるために』
どちらともなくキスをして、心が落ち着くまで抱きしめあった。
「楓、落ち着いたか?」
『うん…ありがとう大分落ち着いてきたよ』
「今度の日曜、水族館いかねぇか?丑三ッ時水族館のペアチケットをデクからもらったんだ。」
『水族館…』
「楓と付き合ってからまともに出掛けてねぇからな」
『行きたい…行こう!私の車で迎え行くね』
「いや、俺の運転で行こうかと思ってたんだが」
『私運転好きだから運転させて!』
「分かった。じゃあ日曜9時に迎えにきてくれ」
こうして、約束した日曜日当日……
時間にうるさい楓が9時を回っても迎えに来ない。
気になって電話をかけるも繋がらない。
それから何時間たっても迎えに来ないし連絡もない状態が続く
何かあったのかもしれないと思って楓の家を訪ねようとした時携帯に電話が入った。
楓だと思って電話に出る
「楓!お前今どこにっ…
【轟くん、僕だよ…】
電話は緑谷からで緑谷の声はか細く震えて泣きそうな声をしている。
「緑谷…どうしたんだ?」
【轟くん…楓さんがっ…楓さんが
今、交通事故で亡くなったんだ。】
「…………楓、が?」
俺は目の前が真っ暗になった。