第21章 もしも願いが叶うなら…【轟焦凍/切甘裏夢】
23:00を回った頃楓の運転する車で会場を出た。
『この後は、ショートも直帰するよう言われてますからご自宅まで送迎致しますがよろしいですか?』
「あぁ、頼む」
『かしこまりました。』
帰りの車の中は何の音楽もかかってなくて不気味なくらい静かだった。
会場から1時間弱で俺の一人暮らししているマンションに着いた。
『お疲れ様でした。明日は朝8:00から洋服ブランドの撮影のお仕事が入ってますので遅れないようお願いします。』
「…楓、泊まってってくれねぇか?お前がいれば遅刻しねぇ」
『ショート?それは致しかねます。熱愛報道とか有る事無い事全部記事に書かれてショートが苦労するのは目に見え
「そんなもの書きたい奴には書かせておけばいい。俺は楓が好きだ、俺にはお前が必要だ…だから一緒にいたい。
それじゃあダメか?」
『……焦凍。わ、私夢でも見てるんですかね?こんな夢みたいなこと現実にあるわけ……んっ、んんっ…』
俺は楓の後頭部に手を回し、唇を奪った。
「…っ、はぁ…夢なんかじゃねぇから今日は泊まっていけ」
唇に手を当てて口をパクパクさせている楓は数分経ったあと車を駐車場に入れ俺に手を引かれながら部屋へと入った。
流石に告白したその日にSEX迫ると嫌われると思い、俺はシングルベッドに一緒に眠る楓を襲いたい衝動に駆られながらもほぼ徹夜で朝を迎えた。
朝日が照らす部屋の中、楓はまだ俺の隣で寝息を立てて夢の中にいる。
その寝顔があまりにも可愛くて俺は携帯で楓の寝顔を連写したり、髪の毛を触って遊んでみたり頬にキスをする。
幸せだ、彼女が今隣にいてくれるこの時間が俺の心を幸せで満たしてくれる。
「仕事、行きたくねぇな…」
できることなら、この寝顔をずっと隣で見ていたい。